英語が「できる」ようになるには4技能をバランスよく学習するべきだ、と言われます。読む、聞く、話す、書くの4つです。
しかし、学校の英語試験対策、または受験に必要な英語で点数をとりたい、となると、また別の技能が必要なのではないか、という気もします。生徒が試験に受かるためには、専用の対策が必要になるからです。
今回は学校のテストや受験を乗り越えるために必要な4分野である単語、文法、長文、英作文の対策において、講師がどんなアプローチができるかを考えていきましょう。
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分野別の英語の教え方のコツ
まずは、生徒が何を目標にしているのかを共有しておくと良いでしょう。
英検に合格したいのか、公立高校に合格したいのか、私立大学に合格したいのかなどによって、進めるペースやどの分野に重きを置くべきかが決まるからです。
単語
英語は単語を知らないと何も始まりません。
しかし、簡単に言ってしまえば暗記作業なので、苦手意識を持つ生徒が非常に多い分野です。
楽しく覚えてほしいものですが、それほど時間が取れない場合もあります。根性論でどうにかなる生徒もいれば、手取り足取りのサポートが必要な子もいます。
テキストの選び方
まずは、すでに学校で配られている単語帳や、教科書に付属している単語リストを使う必要があるのかを確認します。
学校の成績を気にする生徒は学校の単語帳を使いたいはずです。特に、推薦入試を狙っている場合は学校に合わせた単語リストを使った方が定期テストや小テストなどで点数を取りやすいため、効率が良いと言えます。
もし、学校教材を必ずしも使う必要がないときは、すでに持っている物が自分にフィットしているか、目標とするレベルに到達するために十分なレベルの単語量をカバーできているかを相談します。
単語帳を新たに購入するときは、まず講師のオススメを提示すると取り掛かりやすいことが多いです。
または、単語数やレベルだけは共有したうえで「自分で本屋さんに行って、いろんな単語帳を見ておいで」と宿題を出すのも良いでしょう。レイアウトやデザインを自分で選ぶだけでも生徒のやる気は上がります。
生徒によっては単語帳よりも、文章で自然と覚えてしまっていたり、オリジナルで絵を書いたり、海外の動画などを利用する方が楽しく効率的に勉強できる場合もあるでしょう。
指導方法
単語学習には、文字と音と意味をつなぎ合わせる作業が必要です。
なぜなら、音を知っているけれども意味は知らないしスペルも知らない、とか、文字と意味だけはつながるけれどどのように発音するのかわからない、などのミスマッチが頻発するからです。
- 英単語を見て意味がわかるようになる
- 音を聞いて意味がわかるようになる
- 意味を見て英単語が書ける
- 音を聞いて英単語を書ける
これらがまんべんなくできるようになれば、単語学習は完成です。
しかし、ここまで行き着く方法は生徒によってそれぞれです。一人で勉強できる子もいれば、ひと単語ずつ一緒に学習していくほうがいい子もいます。タイムアタックのような方法で緊張感があった方が楽しめる子もいます。生徒それぞれの個を見極めていきましょう。
文法
システマティックだから文法は好き、という子もいれば、見慣れない単語の並び方や文法用語に拒絶反応を起こす子もいます。
テストや受験においては特に文法が物をいうところも大きいので、まずは基礎を固めて、その後総合問題を解ける力を身に着けたいものです。
テキストの選び方
最近の文法テキストは細かくレベル分けがされているので、生徒に合った1冊が見つけやすくなっています。
生徒がSVOCや品詞などの用語に酷く惑わされるのであれば、「意味順」や「パターン練習」といったキーワードで文法問題集を探していくと生徒が納得できるものが見つかる可能性もあります。
オンラインでも良い練習問題を扱っているサイトもたくさんあります。あまり費用をかけたくない場合、単元別の学習はオンラインサイトでも十分かもしれません。
指導方法
文法分野では、わかった気になってしまうのが一番怖いので、定着させるために繰り返し練習が必須です。
特定の文法を学ぶ初めの段階ではスモールステップを心がけ、何か引っかかったところがあれば早めに気づいて解決することが大切です。
例えば、Doesを使った疑問文では動詞を原形にするというきまりを勉強しているときに、実は3単現とは何かをはっきり理解していなかったことが判明する、ということはよくあるものです。
勘違いの知識が定着する前に正しい文法を身に着けてもらいましょう。
生徒が混乱しやすいところでは、講師だから教えられるコツをこっそり教えてあげるのも信頼度が上がる良い方法です。
例えば、SVOOからSVO for OもしくはSVO to Oの書き換えを学習しているとします。学校では動詞のリストが渡されて、特に意味もなく「この動詞はfor、この動詞はtoをとるからとりあえず全部覚えてね。」と言われることが多いものです。でも、英語専門講師であれば、forとtoの使い分けを理由と共に教えてあげることができるので、生徒は一つずつ覚える必要はなくなります。
こういったコツは自分にとっては当たり前になっていても、実は生徒が一番知りたい情報であることも多いものです。
また、特定の文法が定着したら、これまでの単元と混ぜながら演習するのも良い方法です。
そうすることで、これまで勉強した文法とのつながりや違いを認識することができ、模試や受験の時にもわかっていたはずなのに解けない、という事態を避けられるからです。
他にも、日本語の国文法から始めると効果的な場合もあります。品詞それぞれがどんな役割を果たすのかを理解しているのといないのとでは大きな違いが出るからです。
長文
見るだけでやる気がそがれてしまう、見たけど文章が長かったから飛ばした、という生徒もよくいる長文問題。そうは言っても、長文読解は中学生から慣れていってほしいものです。
長文には、単語、文法、内容理解といった学校で習うすべての要素が入っています。また、テクニックとして使えることがたくさんあるのも特徴なので、英語講師であれば、ワクワクしながら教えられる分野の一つです。
テキストの選び方
高校生レベルの長文問題集は書店に行けば、ある程度いろいろなものがあります。生徒の文法力、単語力のレベル、精読がどの程度必要かにしたがって選びます。
しかし、中学生レベルの長文を上手に取り扱っている市販の問題集はほとんどないのが現状です。
まず、学校で長文を扱っている問題集が配られていないかを尋ねてみましょう。副教材を持て余している可能性があります。有効活用してあげましょう。
英検の過去問や問題集も扱いやすいです。同じように、各県の入試過去問題集も使えます。
また、文章で単語を覚えることに特化した単語集を使っても良いでしょう。Z会の速読英単語や、旺文社が出版している文で覚える単熟語などが有名です。
指導方法
中学生のうちは特に、単語を知っているかどうかで扱える文章量が変わってくるので、まずは単語がある程度できてから長文を始めましょう。
会話文と説明文で全体的なアプローチが少し違いますが、どちらも指示語を正確にとらえることは必須です。
そして、接続語や文の流れを決定する「ディスコースマーカー」を整理して理解してもらうことも大切です。
ディスコースマーカーとは、英語長文の流れを示す目印です。but, however, for example, becauseなど対比や逆接、具体化、追加、因果関係を表す単語のことを表します。
説明文では英語文化圏独特の論理的文章の流れを知っていると安心して読むことができます。
他にも、伝授できる「秘密の」テクニックがある先生も多いはずです。テクニックを教えるときには、生徒がそれを使えるようになるまで根気よく見守ってあげましょう。
英作文
多くの生徒が、「英作文のテキスト自体が少なく、さらに自分で添削するのが難しいので、どうしたらいいのかわからない」と相談に来ます。
また、英語を「解ける」だけではなく、自分で「使える」ようになりたい、という要望もよくあります。
確かに、自分のことを自分の言葉で言えると達成感がありますし、勉強が役に立つというやる気にもつながります。
テキストの選び方
多くの生徒が感じているように、本屋で程よいテキストを見つけにくいのは事実です。
探すときには「英作文」というキーワードでテキストを探すよりも、「英語 日記」や「英語 論理的」というキーワードで探した方が良書が見つかります。
また、ここでも使いやすいのは英検の過去の英作文問題です。級によってレベルを変えられますし、自分の意見や根拠を含めて言う練習になります。
指導方法
突然、生徒に「自分の考えを今まで勉強した文法や単語を使って表現してね」と言うと固まってしまう可能性が高いです。
その際には、文の構成要素を一つずつ分けてスモールステップのパターン練習から始めると生徒の緊張が解けます。
例えば、今日はとにかくIt is … for me to —. の構文を完璧にしよう、と決めます。そして、
- to以降に入るものは講師が用意し、It is の後に入るものを生徒が選ぶ。
- It is の後に入るものを講師が選んで、to以降に入るものを生徒が考えてみる。
- どちらも生徒が入れる。
- It is … for me to —.を場面に合わせて使う。
このように段階を追っていくと知らぬ間にできるようになっていて、「できたね!」と生徒をほめると、満足げな表情が見えます。
また、少し長めの文章を書くときは、まず「意見→根拠→例→まとめ」という基本構成をマスターできるように徹底的に指導すると安定した文章が書けるようになります。派生形に行くのはその次で良いでしょう。
英語の指導は「オーダーメイド」が理想的
今も昔も指導者たちは英語を教えるのに苦心し、工夫してきました。その結果、世の中には英語の本や指導論があふれています。何か一番の、もしくは唯一の指導法があるのでしょうか?
このブログを運営しているオンライン家庭教師サービスの「まなぶてらす」は、カリキュラムや指導法は生徒に合った「オーダーメイド」であることが理想的だと考えます。
教え方を縛られると英語の指導は上手くいかない
学校や大手塾でよくあるのは、決められた教材と決められたカリキュラムにしたがって決められた通りに指導していく方法です。
もちろん、それも悪くありません。体系的に、一定の水準を保って、ポイントをおさえた授業ができます。講師側としても授業準備にそれほど時間を取らなくてよい、というメリットもあります。
しかし、個々の生徒を見ることのできる教育者であればあるほど、もどかしさを感じることもあります。
生徒の性格と強みに合わせた指導が必要
全ての生徒が満足できる万能な方法はありません。
生徒にはひとりひとり強みと弱みがありますし、癖も性格もバラバラです。
例えば、同じように勉強してきた中学2年生が、同じように受け身を教えられても、生徒それぞれの習熟度はバラバラです。ある子はbe動詞がわかっていないけれども、別の子はすぐに要領を得て飽きてしまっており、また別の子は現在進行形と混ざって混乱してしまっている、ということはよくあります。
そんな場面を目撃すると、情熱のある講師であればあるほど、「この子にはこんな指導がしてあげられたらもっと伸びるのに」とか「ここはもうできるから、他のところに時間を割けたらいいのに」と柔軟な指導を望むのではないでしょうか。
「縛りゼロ」のオンライン家庭教師「まなぶてらす」
「まなぶてらす」では、カリキュラムも指導方法も指導回数も講師と生徒の間で決めています。
例えば、一つの確立した方法を持っている講師のところに生徒が行くこともできます。講師側が生徒に合わせて、高校生だけどフォニックスが必要だと判断して取り入れることもできます。小学生でも文法の勉強も可能です。
この自由度の高さは講師にとっても生徒にとっても心地よく、また効率的です。
さらに、いくら講師の指導法が良くても、講師と生徒の相性の問題もあります。まなぶてらすでは講師と生徒が満足のいくまでマッチできるのも特徴です。
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英語の教え方をマスターして質の高い授業を提供しよう
英語が大好きな生徒もいれば、やらされている気分の生徒、やり方がわからなくて放棄している生徒もいます。
どの生徒も講師の働きかけ方によって伸び方が変わります。点数を取るだけの英語から、使う英語へと進展させることもできます。責任は重大ですが、やりがいもあります。
生徒に満足してもらえる質の高い授業を提供することを目標に、英語の教え方をこれからも磨いていきましょう。