爆発的に普及しつつあるオンライン授業は確かに便利ですが、必要なものがたくさんあるのが気がかりです。パソコンやタブレットなどの端末に加え、「インターネット環境」がなければ授業を受けることはできません。
そんな時、「新たに回線を契約すべきなのか」「おすすめの回線は何なのか」を知りたい方は多いはずです。
そこでこの記事では、現役のオンライン家庭教師が「オンライン授業のインターネット環境」にフォーカスして解説していきます。
https://www.oshieru.work/manabuterasu-intro/
オンライン授業でインターネット環境がない時の対処法
オンラインやリモートによる活動が爆発的に普及している昨今、インターネット回線は「生活必需品」と呼べるほどの存在ですが、「どのようなインターネット回線を利用するのか」は人それぞれです。
複数人が同居している世帯では、使い放題で高速な光回線が第一の選択肢にあがりますが、数人、もしくは大学生や社会人などの単身世帯では、オンライン授業のために毎月数千円を支払うのはもったいないので、スマートフォンで代用しているケースもあるでしょう。
実際、自宅に光回線などの固定回線を持たない世帯は、全体の十数%存在することが明らかになっています。
参考:この国の「通信格差」。学生の通信環境問題を考える – Impress Watch
では、自宅にインターネット回線を持たない場合、どのようにしてオンライン授業を受けるのが最適なのでしょうか?ここでは、以下の3つの方法を解説していきます。
- スマホで授業を受ける
- テザリングを使って端末をインターネットに接続する
- 回線を新しく契約する
この中から自分に合ったものを選べば問題ないので、順番にチェックしていきましょう。
スマホで授業を受ける
インターネット環境がない状態で、最もお手軽な方法が「スマートフォンで授業を受ける」やり方です。以下にメリットとデメリットを列挙してみました。
- 手持ちのスマートフォンだけで授業が受けられる
- 別の端末やインターネット回線を用意しなくて良い
- どこでも授業が受けられる
- 画面が小さく見にくい
- 資料作成などがしにくい
- 大容量、無制限のプラン契約が必須
スマートフォンで授業を受ける最大のメリットは、手持ちのスマートフォンだけで授業を受ける端末とインターネット回線の2つが既に揃っているため、追加投資を不要とする点です。
また、ご存知の通り、スマートフォンは携帯性が高いためどこでも授業を受けられます。大手キャリアのインターネット回線なら、日本全国のカバー率はほとんど100%なので、下手に固定回線を用意するよりも柔軟に教育を受ける機会を作り出せます。
スマートフォンのデメリットは工夫で克服!
一方で、スマートフォンは小型の端末であるため、物理的に小さい点がデメリットにつながります。画面が小さいため授業の資料が見にくかったり、作業領域が小さくキーボードなども付属していないため資料の作成がしにくいなど、オンライン教育で必要なことが快適にできないのは気になるところです。
一方で、このようなデメリットは工夫次第で解消できるのも事実。
例えば、スマートフォンを上記画像のような10インチ以上のディスプレイに接続すれば、大きい画面で授業を受けられます。
こちらが実際にスマートフォンを20インチ以上のディスプレイに接続してみた写真ですが、比べ物にならないほど見やすくなるのがわかりますよね。ディスプレイの価格はピンキリですが、1万円〜2万円程度あれば10インチ以上のディスプレイは用意できるので、新たにタブレットやパソコンを購入するよりも安上がりです。
スマートフォンでオンライン授業を受ける方法を現役のオンライン家庭教師が解説した、以下の記事も参考にしてください。
https://www.oshieru.work/online-lesson-smartphone/
大容量・無制限プランの契約は必須
新たに回線を用意せずにスマートフォンで授業を受ける場合、容量を気にせず使える大容量、無制限のプランの契約は必須です。オンライン授業でどの程度のデータ量を消費するのかは、上記画像を参考にしてください。
オンライン授業ではZOOMが一般的に利用されますが、ZOOMで1時間、ビデオありの通話をすると「600MB」データを消費すると記載されています。1,000MBで1GBなので、45分〜50分の授業を2回程度受ければ1GBを消費してしまいます。
したがって、スマートフォンの契約プランが1GB〜7GB程度の低容量プランの場合、あっという間に制限に到達してしまうでしょう。その後は1GBずつデータを購入することになりますが、都度課金していてはコスパが非常に悪いです。
一方で、最近はdocomo、au、SoftBankに楽天を加えた4大キャリアで、3,000円程度の大容量、無制限プランが登場しているので、それを契約すればデータ量で悩むことは無くなります。
いずれにせよ、1カ月で授業をどの程度行うのかで必要なデータ量は変わってくるため、自分に合ったプランを契約し、スマートフォンを授業で使うのが良いでしょう。
テザリングを使って端末をインターネットに接続する
インターネット回線を持っていない方の中には、スマートフォンではなく、タブレットやパソコンを使ってオンライン授業を受けたい方もいるはずです。
そんな時には、スマートフォンのインターネット回線を別の端末で使えるようにする「テザリング」がおすすめ。メリットとデメリットを以下にまとめてみました。
- 他の回線を契約しなくて良い
- どこでも回線を用意できる
- 大容量、無制限のプラン契約が必須
- 回線品質が低い可能性がある
- スマートフォンのバッテリーを大きく消費する
テザリングのメリットは上記の通りですが、デメリットには注意が必要です。スマートフォンを授業で使うのと同様に、大容量、無制限のプラン契約が必須ですが、それに加えて「回線品質が低い可能性がある」のも見逃せません。
ただでさえ、スマートフォンは無線で基地局と通信を行っているため、光回線よりも回線品質が低いです。そんな状態で、スマートフォンの回線を無線回線としてつなぐテザリングで端末を使えば、オンライン授業に必要な回線品質が得られない可能性もあります。
したがって、テザリングで授業に臨む場合には、一度家族や友人とお試しでビデオ通話をしてみましょう。
テザリングを使ってオンライン授業を受けたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
https://www.oshieru.work/lecture-tethering/
回線を新しく契約する
スマートフォンを授業に使ったり、テザリングでスマートフォンの回線を使用する方法を解説してきましたが、中には「スマートフォンは使わず、新しい回線を契約したい」という方もいるでしょう。
確かに、スマートフォンの回線は安定性が低いため、快適に授業を受けられない時もあるかもしれません。しかし、スマートフォン以外の回線には、以下のデメリットがあることも忘れてはいけません。
- 料金が高い
- 契約年数が2年〜4年と長期
- 固定回線の場合、自宅以外で利用できない
スマートフォンは大容量、無制限プランにしても、1カ月で3,000円からで今なら利用できますが、新たに回線を契約するとなると、4,000円〜6,000円程度は見積もっておく必要があります。
また、光回線にしろ、無線回線にしろ、契約年数が2年〜4年と長期なので、いつ打ち切られるか分からないオンライン授業のためだけに用意するのは賢いとは言えません。当然、契約期間内の解約には数千円〜数万円の解約金がかかります。光回線の場合は5万円以上かかる場合があるため、注意が必要です。
加えて、光回線など固定回線の場合は、自宅以外で利用ができません。オンライン授業は自宅以外の場所でも授業を受けられるのがメリットなので、この点を考えれば、スマートフォンの携帯性の高さは光ります。
世間では「光回線がベストな選択肢」と言われがちですが、実際は各家庭や利用方法によっておすすめの回線は大きく異なります。したがって、まずは上記のスマートフォンを利用する方法を検討してみましょう。
オンライン授業におすすめのインターネット回線
ここからは、オンライン授業におすすめのインターネット回線を解説していきます。
- 光回線(固定回線)
- 無線回線
- ポケットWi-Fi
新たにインターネット回線の契約を検討している方の参考になる情報を網羅しているので、以上の3つの回線について知っていきましょう。
光回線
まず最初に解説するのが「光回線」です。インターネット回線と言えば光回線をイメージする方も多く、多くの方が契約を検討しているはず。
以下で、メリットとデメリットを解説していきます。
メリット
- 高速通信ができる
- 無制限に利用できる
- 家族で同時に利用しても問題ない
光回線の最大のメリットは「通信の安定性」に関してです。通信速度が非常に高く、スマートフォンや無線回線とは比較になりません。10倍以上の速度が出ることも珍しくないため、授業環境に徹底的にこだわりたい方には光回線がおすすめできます。
また、無制限で大容量なので、スマートフォンのように「〇〇GBにおさめないと」といったことを考える必要がありません。また、家族が一緒にインターネットを利用していてもそこまで回線に負荷がかからないため、世帯の中で大人数で快適に利用できる点も見逃せないメリットです。
デメリット
- 料金が高い
- 解約しにくい
- 工事が必要
- 自宅以外で利用できない
続いて光回線のデメリットですが、料金面は多くの方が理解していると思います。それ以外に「解約しにくい」点が大きな気掛かりです。
業者によって異なりますが、光回線の契約は非常に複雑です。詳細を以下にまとめました。
- 契約年数が2年〜3年
- 契約後でも工事が終わるまで使えない
- 解約時には工事費と解約手数料と解約金が必要
- 業者とプロバイダーの2者と契約が必要なことも
まず契約年数が2年〜3年と長期で、この契約には工事費を無料にするなどの特典が付属していることがほとんど。しかし、その実態は「1カ月あたりの工事費の分割費を無料」とする「実質無料」なので、途中で解約すると残債を支払う必要があります。
これだけで数万円の解約金が生じてしまいますが、さらに解約手数料と解約金が必要になり、加えて光回線の契約は業者とプロバイダーという2者と契約を結ぶことが多いため、「2重の解約金」が必要になることも珍しくありません。
これらを全て加味すると、契約期間内の解約には5万円以上の膨大なお金が必要になることもあるため、「今後インターネットを利用しなくなる可能性がある」という家庭には、光回線はおすすめできません。
一方で、これらのデメリットは解約しなければ生じないものなので、「今後継続してインターネットを利用していく」前提にあるなら光回線を契約しましょう。他の回線とは比べ物にならないほど、快適にインターネットを利用できます。
無線回線
続いて解説するのが「無線回線」ですが、名前だけ聞いてもピンとこない方が多いのではないでしょうか?具体的に例を挙げると、「工事不要」「コンセントにさすだけ」といった宣伝をしているものを、ここでは便宜的に無線回線と紹介します。
この無線回線の代表的なサービスは以下の通りです。
- ドコモ ホームルーター HOME 5G
- WiMAX(au)
- SoftBank Air
ご覧の通り、docomo、au、SoftBankの携帯大手3キャリアが参入しているため、スマートフォンを選ぶ感じと似ています。
工事不要でコンセントにさすだけで、自宅にインターネット回線を導入できると聞くと非常に便利に思えますが、メリットとデメリットをチェックしていきましょう。
メリット
- コンセントさえあればどこでも使える
- 工事不要なので住居によらず使える
- 契約後にルーターが手に入ればすぐに使える
無線回線のメリットは、「手軽に使える」点があげられます。光回線のような大規模な工事が不要なため、コンセントさえあれば契約後、すぐに利用を開始できます。
また、光回線は自宅でしか利用できませんが、無線回線はコンセントさえあればどこでも使えるので、自宅以外の場所でもインターネット環境を構築できる点も魅力です。
デメリット
- 光回線に比べて回線品質が低い
- 無線接続なので安定性が低い
- コスパが悪い
- 解約しにくい
続いてデメリットについてですが、固定回線の光回線と比べると、やはり回線の品質や安定性の低さが気がかりです。
先述のように、無線回線は以下の3つのバリエーションがありますが、
- ドコモ ホームルーター HOME 5G
- WiMAX(au)
- SoftBank Air
このうち、auのWiMAXを除く2つは「スマートフォンと全く同じ回線」を利用しています。したがって、回線品質はスマートフォンと同様か、もしくは少し良い程度なので、お世辞にも光回線に及ぶとは言えません。
また、光回線はケーブルを通じて通信を行いますが、無線回線は基地局と無線を通じて通信を行うため、さまざまなものの影響を受けやすく、安定性も低いです。
このようなデメリットがある上、さらに気になるのが月額料金。大手三社ともに月額料金は5,000円前後で横並びで、光回線とほとんど同じ価格帯のサービスです。光回線の品質の高さを考えると、両者が同じ値段であることに納得できない方も多いのではないでしょうか?
もちろん、契約年数は2年〜4年程度の複数年契約になるので、途中の解約は解約金などが生じます。以上の点を踏まえると、光回線の方がおすすめです。あくまで「光回線を契約できない時の第二の選択肢」程度に考えておいた方が良いかもしれません。
ポケットWi-Fi
最後に紹介するのが「ポケットWi-Fi」です。先ほどの無線回線はコンセントに接続して使いますが、こちらは端末に充電式のバッテリーが内蔵されているため、「持ち運んで使える無線回線」のようなイメージで捉えてもらえれば問題ありません。
一見すると、無線回線よりも持ち運べる分だけ便利に見えますが、メリットとデメリットを確認していきましょう。
メリット
- 小型で軽量なので携帯性が非常に高い
- 契約後にルーターが手に入ればすぐに使える
- 固定回線、無線回線より月額料金が安い
ポケットWi-Fiの最大のメリットは、端末自体が小型で軽量なので「携帯性が非常に高い」点になります。自宅で利用するのはもちろん、バッグの中に入れて外出先で使えますし、旅行など遠出した先でオンライン授業を受けることも可能。
また、端末であるルーターさえ手に入ってしまえばすぐに利用できるので、工事を待たなくて良い点も魅力です。
加えて、固定回線や無線回線よりも月額料金を抑えられます。利用するサービスやプランにもよるので一概には言えませんが、1,000円〜2,000円程度、月額料金を抑えられるため、出費を抑えて利用したい方にもおすすめです。
デメリット
- 光回線に比べて回線品質が低い
- 無線接続なので安定性が低い
- 解約しにくい
- サービスが多すぎて選びにくい
続いてポケットWi-Fiのデメリットについてですが、無線回線とほとんど同じです。回線品質が光回線よりも低く、複数年契約を強いられるので解約しにくい点がネックになります。
また、ポケットWi-Fiを提供しているサービスが多すぎて、「どれを選べば良いのかわからない」となりがちなのもデメリットの一つ。全く同じ商品を提供しているにも関わらず、契約する業者によって料金や特典が大きく異なることも珍しくないため注意が必要です。
テザリングの利用から検討してみよう
オンライン授業を受ける上で必要不可欠なインターネット回線について解説してきました。結論から言えば、光回線や無線回線、ポケットWi-Fiといったサービスは、契約後、月額料金が数千円かかり、なおかつ複数年の契約が前提となるため、「オンライン授業のためだけに契約する」のは少しハードルが高いです。
したがって、まずはスマートフォンのインターネット回線を利用するテザリングから始めてみるのが良いでしょう。その後、テザリングで問題なければ継続して利用し、厳しいようなら改めて各種回線の契約を検討してください。